「萌えないゴミ」とは彼のこと。
暁!氷結クリフト
第4弾 「悲劇のタイタニック」
「これは、船までお持ちとは」
「おほほほほ、これくらい当然よー」
港に停泊中の巨大帆船をブライが見上げていると、マーニャが得意げに片手を口元に当てて高笑いします。
「マーニャちゃんを乗せる船はゴージャスじゃなくっちゃ!」
「わ、私の船なんですが」
トルネコの呟きも聞こえず、ブライとマーニャがまたもや冷戦を繰り広げていると、後からやってきたクリフトは目をカッと見開いて船の前で立ち尽くしました。
「な、なんという豪華客船っ!」
「おほほ。そうでしょー?」
やや大仰な驚きを見せる神官にマーニャも悪い気はしません。
ちなみにブライは、この程度でサントハイムの者が驚いてはならぬと、苦い表情でこっそり舌打ちします。
「こ、この船のさきっちょで! 姫様とタイタニックごっこができようとはっ!」
「え」
この神官、また腐ったドリームに陥っているようです。
両手を広げて潮風を浴びるアリーナ姫を後ろ抱きにする、「タニタニック抱き」。クリフトはそんな己の姿を想像しながら、鼻息荒く船を見つめました。
「デッキでひっそりと身体を繋ぎ合い! 沈む船で姫様と永遠の愛を誓い!」
「か、勝手に沈めないでくださいっ!」 ←トルネコ必死。
「この船は私と姫様の愛の証、ラブ☆タイタニック号と名付けましょう!」
「アホか! この下ネタ全開雑魚野郎!!」
「お前だけ沈んどけ!」
そうしてキレた氷の魔法使いが船のすぐ隣に巨大な氷山(クリフト入り)を作ってしまったので、船の出港は大幅に遅れたそうです。
冒険はなかなか思うように進まないものだと、ソロは隠れて溜息を吐きました。
哀れ、氷結クリフト。
この事件すら「氷山の一角」です。
|
|