今日も氷結がやってきた。
暁!氷結クリフト
第12弾 「バコタの野郎!」
通りすがりの妙な男に「ココを開けたら面白いものが見つかるよ」と言われ、なんだろうと手を掛けてみれば、そこに居合わせたシスターに泥棒呼ばわりされてしまいました。
今までは城の宝箱や民家のタンスなど、どれほど開けても捕まらなかった一行ですが、遂に年貢の納め時が来たようです。カーデンブルグ城の女王様は噂通りに厳格なお方らしく、アリーナ姫の無実の訴えも退け、一行をお縄にかけて尋問を始めました。
「あなた達が盗みを働いたのですか」
「いいえ、断じて違います!」
「いいえっ、女王様! 私はこの目で見ました!」
アリーナ姫は懸命に訴えますが、シスターも声を荒げて糾弾します。
王の間では、その間で女王様が冷徹な視線を注いでいました。
「盗んだのが姫でないのなら、他のお仲間のどなたかが?」
「まさか、そのような!」
疑いの目を向けられ、メンバーが濡れ衣だと冤罪を訴えようとした矢先、神官クリフトが真っ先に口を開きました。
「私は姫様の使用済みあみタイツを拝借したことはありますが、
「そーんな老いぼれシスターのロザリオなんて、知ったことじゃありませんっ」
「まっ……まー!」
言われてシスターはプンスカと怒りましたが、それを聞いたアリーナ姫は、ロザリオどころではありません。
「わ、私のあみタイツ……」
なくしたと思っていたアイテムを、まさかこの人が持っていたなんて!
「僭越ながら、 使 わ せ て 頂きました」
「ク、クリフト」
キリリとした麗顔で言い放つ神官には、何の迷いもありません。
全ての悪を光に照らし、邪なるものを微塵も知らなそうな美形の僧侶が畏れ憚らず言ってのける姿には、なんだか彼が何一つ悪いことをしていないという錯覚さえ起きるほど。
「さぁ、私達は無罪です! この縄を解いて頂きたく存じます!」
「サントハイムの恥め! 貴様は有罪じゃクソッタレ!!」
「その破廉恥な神官には牢屋に居て貰います」
女王様の命により、氷漬けのまま地下牢へとブチ込まれたクリフトは、ロザリオを取り戻すまでどころか、冒険が終わっても釈放されることはなかったということです。
哀れ、氷結クリフト。
何に「使った」のかはヒミツ。
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