何で殺されないんだろう。
(クリフトも私も)
暁!氷結クリフト
第13弾 「最後のアレ」
さいごのカギを手に入れました。これでメンバーが入れない部屋、開けられない宝箱は世界のどこにもありません。
勇者ソロ一行は、冒険の最中で気になっていた扉という扉をこじ開け、宝箱という宝箱をオープンし、魔王討伐という「正義」を掲げて白昼堂々と窃盗行為に勤しみます。
「あぁ恐ろしい。私はこの鍵の存在がとても恐ろしい!」
全ての鍵を任されたクリフトは、旅の先々で扉を開けながら、どんな扉でもホイホイと開けてしまえる自分達の恐ろしさをひしひしと感じるのでした。
「全てを解き放ってしまうこの鍵が、私は恐ろしくて堪りません!」
「クリフト?」
思いつめたように悲壮な顔を浮かべるクリフトに、アリーナ姫が心配して顔を覗き込みます。
妄想<※やっぱり妄想中>
妄想あぁ、この鍵さえあれば、姫様の部屋さえ開けられるだなんてっ!
妄想「おおっとぉ! 部屋を間違えてしまった!」
妄想そしてうっかり鍵を差し込み、うっかり部屋に入ってしまって!
妄想(あくまで「過失」と言い張る神官)
妄想「ううん、間違ってないわ。此処はあなたの部屋よ」
妄想「ひっひひ姫様!」
妄想「私、貴方が開けてくれるのをずっと待ってたわ」
妄想「ひっ、ひー!」(姫様、と言いたいが言えない)
妄想禁断の世界が私を迎えてくださって!
妄想そして姫様と秘密の園へ踏み込んだ先には、その先にはっ!
妄想「アナタの鍵で、オトナの世界を、あ け て ☆」
妄想「はぶしっ!」←鼻血全開
妄想<※これ以上は人類の言語にできない>
「イッツ! オープン!」
クリフトがカッ☆と瞳を見開いて叫びました。
「姫様! 私も理性を解き放ち、本能の扉を全☆開☆にして姫様と――!!」
「ケダモノ煩悩神官めが! その妄想、永遠に封印してくれるわっ!!」
「貴様は二度と解き放たれぬよう呪いをかけておいてやる!」
「ちょ、ブライ」
今しがた空けたばかりの宝箱へ氷塊となったクリフトを押し込みつつ、ブライは底のない怨念を込めてその場より立ち去りました。
クリフトの封印が解けるのは、次の勇者を待たねばならないようです。
哀れ、氷結クリフト。
次の勇者も開けてくれない。
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