飽きてきません?(笑)
暁!氷結クリフト
第15弾 「世界の本を求めて」
宮廷魔術師マドルエの本を求めて世界を巡り、これでソロが読んだ本は4冊になりました。
こうなったら世界中の本棚という本棚を漁り、書物という書物を調べるのも冒険の楽しみのひとつになってきます。
サントハイム城にやってきたソロは、マドルエの故郷であるこの城に彼の著書が他にもあるのではと書架に入り浸っておりました。
そして手に取ったのがこの一冊。
――逃げる彼女の服を掴み、左右に引き裂くと、
薄い生地が甲高く悲鳴を上げて裂かれ、白い肌が露になる。
その弾みで彼女は躓き褥に寝転び、
逃すまいと伸びた私の腕は、
彼女を強く抱きしめるかたちで自由を奪った……
「……なにこれ」
官能小説の類でしょうか、なにやら怪しげな雰囲気をかもしだす本に、ソロはちょっとドキドキしてしまいます。当初の目的とは異なるものの、ソロは続きが気になって次のページをめくりました。
その時。
「どなたか私の秘密の日記を知りませんかぁ!」
「姫様!」と呼ぶ私の声が震える。
私を見詰めるアリーナ様の瞳は恋焦がれて潤んでおり、
狂おしい程の甘い声で、まるで懇願するように訴えられた。
「イヤじゃないの。ただ、怖いだけ……」
……というシチュエーションでいきたい今日この頃。
(○月×日 クリフト 心の日記)
「見られたらとっても恥ずかしいんですー!」
そう大声を出しながら書庫内を探し回っているクリフトの足音に気付き、ソロはグッタリと項垂れます。
本人に手渡すのも気が引けて、彼の隠し場所と思われる棚の間にそれをしまおうとしたその時、ソロは言葉どおり背筋が凍るような怒りの冷気を背後に感じました。
「脳内クソッタレが! 人として生きること、まかりならんわァッッッ!!」
「はき溜めのカスめ!」
マンガ雑誌を破るようにメリメリと日記を真っ二つに裂いたブライは、ひんやりとした書庫を更に冷やすような氷柱(しに)を置いて去ったのでした。
哀れ、氷結クリフト。
ソロの真後ろで読んでいました。鬼の形相で。
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