DQ4のプレイ日記を書くつもりが、
いつの間にか氷柱が何本か立っていました。
ここには間違っても普通の神官は居ませんので、
危険を感じた方は速やかにブラウザを閉じてください。
氷結クリフトの冒険
プロローグ 「まずはここから」
サントハイムのお転婆姫ことアリーナ姫は、腕試しにとお城の壁を蹴破って外に出ようとしたところ、破壊の爆音に気付いた警邏兵に見つかり取り押さえられました。
屈強の男が10人がかりで玉座の前まで押し戻し、そこで父王のお叱りを受けたアリーナ姫。目付け役のブライにまでこってりとお小言を聞かされた後は、頬を膨らませながらクリフトの所までやって来ました。
「ちょっと聞いてよクリフト!!」
「姫様」
クリフトは彼女が勢いのあまり入口の大扉を打ち破って入ってきたことに驚くよりも、愚痴を零す相手が自分であることを密かに悦びながら振り向きます。
アリーナ姫は怒り冷めやらぬ状態のまま大きな足音を立ててクリフトの隣に腰掛ると、訴えるように言い放ちました。
「もうこんな所、逃げ出してやるわ!」
「姫様それは、」
今しがた失敗したばかりだというのに、アリーナ姫は拳を強く握り締めて言います。そんな彼女はまるで籠の鳥。まだ見ぬ外の世界に憧れて懸命に翼を羽ばたかせる小鳥のよう。未だクリフトが道に迷うほど広いサントハイムの王宮も、アリーナ姫にとっては狭くて仕方ないようです。
「クリフトだってこんな所で一生暮らして終わるの、イヤでしょ?」
花のように美しいアリーナ姫が同意を求めるよう窺ってくる仕草にクリフトはたじろぎました。
サランの神官学校を主席で卒業した彼にとって、サントハイム城内の教会に赴任したことは名誉のあることでしたし、王宮付きの神官としてアリーナ姫に御仕えできる今の身分は悪くありません。しかし日々の生きる糧を与えてくれる己の天使自身が此処で息苦しい思いをしているのかと思うと、クリフトは他の家臣と同じく彼女の言葉に首を横に振ることはできませんでした。
「私の脱走計画、手伝ってよ!」
「ひ、姫様」
何の権力も持たぬ一介の家臣に脱走の幇助を御命令なさるとは。
クリフトは大きな瞳を真剣に輝かせて見つめてくるアリーナ姫に戸惑いながら、しかし内心ではドキドキしてその言葉から妄想を逞しくさせるのでした。
妄想【妄想はじめ】
妄想「クリフト、私を此処から出して頂戴!」
妄想「そ、そんな駆け落ちだなんて」
妄想「私、貴方と一緒なら何処にだっていけるわ!」
妄想「ひひひ姫様……!」
妄想「愛してるわっ! クリフト!」
妄想「あぁっ、姫様いけませんっ!」
妄想【妄想オーバードライブ中】
妄想の中のアリーナ姫はやけに積極的で、その勢いのままクリフトを押し倒してしまいそうなほど。胸元に飛び込んでくるアリーナ姫の柔らかさを脳内で爆発させたクリフトは、身をクネクネとさせながら言いました。
「あぁぁっ、いけませんっ!!」(ハァハァ)
そんなクリフトを見た現実世界のアリーナ姫は、彼がどんな邪まな想像をしているかなど知る由もなく、
「なによ! クリフトの馬鹿!」
「へぶしっ!!」
彫像をも一撃で砕く拳がクリフトの鳩尾にめり込み、アリーナ姫はプッと頬を膨らませて教会から出て行きました。
「い、痛い」(ハァハァ)
クリフトは的確に急所を襲った拳の痛みに悶絶しながら、相変わらずのお転婆ぶりにますます恋心を募らせてしまうのでした(鼻血)。
アリーナ姫が本当に脱走してしまうのは、この3日後のこと。
冒険、それは姫様との愛の逃避行。
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