老魔術師もまだヒャドしか使えません。
氷結クリフトの冒険
LV.4 「初期装備」
「あれ? クリフトって剣を使うのね」
何回か戦闘をこなし、アリーナ姫は神官クリフトが背の大剣を抜いて攻撃をしていることに気付きました。
(あんまり興味ないから見てなかった)
「私、あなたの持ち物にこんぼうが入ってたから、
「てっきりそれで戦っているのかと思っていたんだけど、違うのかしら」
攻撃力がないに等しいのは、武器とも言えぬそれを装備しているからだとばかり思っていたのですが。
「いいえ姫様、こんぼうというのは こ ち ら でございます」
クリフトはとても真剣な、神妙な面持ちになると、教え諭すようにアリーナ姫に言いました。
「本来男とは身体に武器を備えておりまして、」
「?」
その表情はとても真面目だというのに、彼の手はモゾモゾとズボンの前で動いています。
「いや、私としては寧ろ こ ち ら を 剣と呼んでも構わないのですが」
「なぁに?」
アリーナ姫が興味津々といった視線でクリフトの蠢く手を見つめたその時、
「こんのクソ神官が、姫様に下ネタを言いおって! いっぺん死んどけェッ!」
「たいした威力もないくせに、いきがりおって!」
氷の魔道師がそう吐き捨てていきましたが、それが物理攻撃のことなのか、下半身のことなのか、まだまだお子ちゃまなアリーナ姫には分からないことなのです。
哀れ、氷結クリフト。
多分両方。
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