16階まで来ました。
続・氷結クリフト
その壱拾六 「ダブルで効果は2倍」
マネマネが現れました。
「気をつけて! モシャスを唱えられては危険よ!」
前回、彼等にクリフトへの変身を許してしまった一行は、悲しい哉本物よりも成功率の高いザラキによって前衛パーティーが一瞬のうちに殲滅されたトラウマがあります(実経験)。
マネマネの出現に身構えたアリーナ姫は、後列のクリフトを隠すように仁王立ちになって言いました。
「唱える前に倒すわ!」
「待ってください姫様!」
炎のツメを手に攻撃態勢を取るアリーナ姫にクリフトが割って入ります。
「あの魔物が姫様に化けるというなら!」
攻撃できないとでも言うのでしょうか。
アリーナ姫とて相手がクリフトの姿をしていれば戸惑いもしますが、呪文を唱えない自分に化けるとならば状況的にも倒しやすいのです。彼女は自分を庇おうと前に進み出るクリフトを押し留め、早期決着をつけようとしたのですが、
「姫様が二人! あぁ、まるで夢のよう!」
「え」
「それは禁断のハーレム!」
そうしてモタついているうちにマネマネAはアリーナ姫に化け、先頭のライアンに強烈な一撃を放っています。
「ふぐぉ!」
「ラ、ライアン殿ッ! 羨まスィ!」
「全然羨ましくないよ!」
アリーナ姫は傍若無人に鉄拳を振り回すアリーナもどきを睨むと、それにウットリとした視線を注ぐクリフトを叱りました。
「もう! クリフト!」(こいつをザキりたい)
本物のアリーナ姫がクリフトを正気に返らせようと彼の頬にペチンと平手打ちを食らわすなか(これでも正気)、アリーナもどきがクリフトめがけて懇親のキックをお見舞いしようと向かってくるではありませんか。
「このクリフト、愛の戯れは1対1の真剣勝負と決めておりましたが、姫様がお二人いらっしゃるというのならば、3、3Pもアリかと……ッ!」
「この破滅僧侶が、黙って死んどけぇぇぅぉぉおりゃ!!!」
更にブライに化けたマネマネCの呪文が重なります。
ブライもどき(マネマネC)の呪文攻撃と同時に、本物のブライの氷魔法がクリフトを襲います。
「陽の目をみることなく凍えさせてやるわ!」
ダブルブライの氷結攻撃によって普段よりも一層高い氷柱に埋め込まれたクリフト(しに)。
「ヤツが居なくなれば全滅することもありますまいて」
そうして変化する対象を失ったマネマネDは、なんだか物凄い形相を見せる老魔術師に恐れをなし、そそくさと逃げ去ったのでした。
哀れ、氷結クリフト。
ザラキはガチでやばい。
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