17階まで来ました。
続・氷結クリフト
その壱拾七 「コタツ最強伝説」
「おコタって気持ちいいねー」
「そ、そうですね」
この冬、ブライにコタツを譲り受けてからというもの、アリーナ姫は猫のように丸くなってぬくぬくと温まり、幸せそうな笑みを零しているのですが、
「あ、あまり身体には宜しくないと聞いておりますが」
「えー? そんなコトないよー」
(……くっ!)
クリフトにとっては、他の男(ジジイじゃん)からの貰いものに愛しの姫君がうっとりしている事実が嫉妬心を呼び起こします。
「あぁー、おコタがあれば何もいらないよー」
甘やかな声を出して「ウフン」とまどろむアリーナ姫。
クリフトはそんな彼女の姿を見ると、「けしからん!」とばかりコタツの天板に手を置いて言いました。
「姫様! コタツは怠惰に誘う魔のアイテム!」
ちゃぶだい返しをしそうな勢いで言うクリフト。そこまで言うなんて、コタツにどんな罪があるというのでしょうか。
「しかも、あろうことか私以外で温まれてにゃんにゃんなさるなんて!」
「にゃ、にゃんにゃんって」
嫉妬の原因はそれですか。
唖然とするアリーナ姫をよそに、リフトはすっくと立ち上がると、目の前のコタツに向かって黒い霧を出し始めました。
「姫様とのラブ・ライフを奪うお前などっ! ザキってくれる!」
「見苦しい嫉妬を見せおって! このド阿呆めがァッ!」
「見境なくザキりおって……モノに効くか、たわけ!」
そうして元の持ち主が新たに出来上がった氷柱を押しのけてコタツに入れば、その一辺に肩まで潜っていたアリーナ姫が溜息を吐きながら言いました。
「見境ないのはどっちもよ」
悲しいことに、今の冷気でコタツが壊れてしまったのは言うまでもありません。
哀れ、氷結クリフト。
巻き込まれる人(モノ)の事を考えて下さい。
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