19階まで来ました。空が近いです。
続・氷結クリフト
その壱拾九 「ぱふぱふ(2)」
いきなりですが、クリフトが瀕死です。
自分や仲間よりもアリーナ姫を優先して回復魔法(しかも常にベホマ)をかけていたツケが遂に回ってきたようです。
「うう、姫様」(ハァハァ)
「クリフト! 大丈夫!?」
アリーナ姫は膝をついたクリフトに駆け寄って、やくそうのひとつでも渡してあげようかとふくろをまさぐった時、
「や、やくそうではなく」(ハァハァ)
か細い声でクリフトが何やら呻きました。
「なに? まほうのせいすい?」
「いえ」(ハァハァ)
アリーナ姫が彼の傷の具合を見ようと屈んで窺った時、クリフトはくわっと瞳を見開いてアリーナ姫に訴えました。
「姫様にパフパフをして戴きとうございます!」(ハァハァ)
「ぱ、ぱふぱふ?」
ごめんそれ知らない。
アリーナ姫が困った風にそう言おうとすれば、クリフトは彼女の膝に縋って必死の形相で続けます。
「していただければ、不肖クリフト! 完 全 回 復 であります!」
「え、でも」(知らないもん)
アリーナ姫は彼の懇願に何も言えません。
「いやもう元気百倍というか、勢い余ってなお盛んというか!」(ハァハァ)
「ちょ、クリフト」
「この世に姫様のパフパフに勝るものなし!」(鼻血)
そう言ってクリフトはアリーナ姫の細腰に抱きつき、彼女のやや膨らんだ胸元にギラギラとした熱い視線を送れば、
「キモい!」 ←マーニャ
「悪 霊 退 散 ッ !」
クリフトは仲間の呪文によって死んでしまいました。ちょうどアリーナ姫の膝の上に、炎を通しすぎた焼き鳥のように黒コゲになった神官が横たわります。
「アリーナ。仲間が混乱してるなら早く言わないと」
「ごめん正気だったと思う」
哀れ、燃焼クリフト。
久々の燃焼系。
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