相変わらずの汚物っぷり。
魁!氷結クリフト
第13幕 「あーん、ってして」
あまりに例の魔法使いがヒャド系の魔法を使いすぎるので、アリーナ姫は風邪を引いてしまいました。
「御加減は」
「ありがと。大したことないわ」
その元凶である神官は、愛しの姫君の不調をとても心配して看病につきっきり。
アリーナ姫が目覚めるまでに温かいスープをこしらえていたクリフトは、ベッドより半身を起こした彼女に食べてもらおうと、早速鍋を持ってきました。
「さぁ姫様。こちらをお召し上がりくださいませ」
湯気の上がる鍋から皿に移し替えたクリフトは、スプーンですくってアリーナ姫の前に差し出します。
「熱いので、今お冷ましいたします」
それは病み上がりの主君に対する心遣いかと思えば。
「かわいいお口が火傷してはいけませんからね。フゥフゥしないと」(ハァハァ)
「それで冷ませるの?」
フゥフゥっていうか、ハァハァだよねそれ。
「寧ろ私は熱くなります。いやそれ以上に昂ぶってまいりました!」(鼻息)
パジャマ姿のアリーナ姫に欲情したのか、クリフトは激しくシャウトすると飛び散るスープも構わずにアリーナ姫に迫りました。
「あぁ姫様ッ! スープではなくこの私でお温まりくださいッ!!」(鼻血)
「ちょ、クリフト――」
「その煩悩に塗れた薄汚い知恵熱、すぐに冷ましてやるわボケェッ!!」
「貴様は永遠に眠っておれい! 二度と人間の温もりなど与えんわぁ!」
そうして部屋には身の毛もよだつ冷気が吹き荒れ、アリーナ姫のベッドの隣に冷たく輝く氷柱が出来上がります。
「……っくしゅ!」
再び凍える空気に満たされたアリーナ姫。風邪は治りそうもありません。
哀れ、氷結クリフト。
姫様も被害者。
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