腐ってやがる。
(クロトワ風に)
魁!氷結クリフト
第14幕 「正直者は(以下略)」
「イカダって楽しいねー」
海鳴りの祠へとやってきたパーティー。
カナヅチな神官がビクビク水面を見ている隣で、アリーナ姫は喜色満面に探索を楽しんでいる様子。
「あれ、なんか水の中に――、あっ」
「ひっ、ひひひひひっ姫様ぁー!!!」
なんと、イカダより身を乗り出したアリーナ姫が、バランスを崩して水の中にドブンと落ちてしまいました。
「ノォォォォォーッッ!!!」
クリフトは咄嗟に手を伸ばしたのも間に合わず、愛しの姫君は既に深い水底に落ちて水面には映らず。
絶叫して海の底を見つめれば、今しがた水飛沫をあげた水面がザップンと大きく波立ち、祠の精霊が現れました。
「あ、あなたは……」
「私は 祠 の 精 霊 。貴方が今落としたのは、
「羞恥心に染めながら、調教し甲斐のある純情可憐な仔アリーナですか?
「それとも性的に成熟を遂げた娼婦仕様のオトナアリーナですか?」
精霊の両隣には、恥じらいに頬を赤らめながらも上目に見つめてくる可愛らしいアリーナ姫と、ウッフンと手招きしながらクリフトを挑発する蠱惑的なアリーナ姫。
天使か悪魔か二人のアリーナ姫に見つめられたクリフトは、思い切って口を開きます。
「両方です!!!」(ハァハァ)
「正直者すぎるわぁッ! このスッタコがァァァァッ!」
「姫様もおとなしく座っていなされ!」
クリフトが氷結して水面に沈んでいく反対側で、自力で泳いで戻ってきたアリーナ姫。
相変わらずのお転婆をこっぴどく叱られ、一行のイカダはサッサと祠を後にしたのでした。
「あれ? クリフトは?」
哀れ、氷結クリフト。
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