なんでこんなにアホなん?
(せっちゃん風に)
魁!氷結クリフト
第16幕 「僧侶のステータス」(1)
突然ですが、クリフトは積年の夢であったザラキーマを覚えました。
「こ、これで僧侶として申し分ない能力が備わった……!」
まさに感無量。
レベル以上の感慨に満ちたクリフトは、早速とばかり気合を入れて覚えたての呪文の詠唱に入ります。
「今までブライ様には随分と氷結させられておりましたが、それも今日までっ!」
クリフトの黒い手袋からは、長年の恨みのこもったドス黒い霧(怨念)が炎のように揺らめいています。
「ブライ様! お覚悟ッ!」
彼はことあろうか導かれし者の仲間であるブライ老めがけてザラキーマを放つと、命取ったりとばかり不敵な笑みを浮かべて言いました。
「貴方を葬り、姫様とラブラブなスウィートライフにシケ込ませて戴きます!」
どわっはっはっはっはっはっ!!!
グランドスラムの王様の如き高笑いでクリフトがブライに死の魔法を浴びせようとしたその時、
「ワシを殺そうとはいい度胸じゃ! しかし甘いわ糞神官がァッッッ!!!」
「ザラキーマとて返せるわヴォケェ!」
何を勘違いしていたのでしょうか。ザラキーマは全体攻撃が可能になるだけで、確実な一撃死を与える魔法ではありません。クリフトの唱えた呪文はそのまま自らへとはね返り、彼はポックリ死んでしまいました。
老魔導師が「クソが!」と吐き棄てて去れば、志(エロ妄想)半ばにして散った若者の魂が野を彷徨うのでした。
因みに「ぼうけんのしょ」に記録をしていなかったので、ザラキーマも覚えなおしです。
哀れ、昇天クリフト。
死して屍拾う者なし。
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