遂に野に解き放たれた神官。
氷結クリフトの冒険
LV.2 「初ホイミ」
「姫様、お怪我などなさっていませんか」
「え、まだ何も」
お城を出て数歩。
クリフトがいそいそとアリーナ姫の隣に歩み寄って言いました。
「このクリフト、回復呪文が使えますのでどうかご安心を」
「へっぽこホイミしか使えんじゃろ」
ブライ老が後ろから言葉のナイフを投げつけますが、クリフトはへこたれません。
「ホ、ホホイイミはですね、直接お肌に触れないと治せないのです」
彼はアリーナの両手を握ってにじり寄りました。
「クリフト?」
「どうかお怪我をなさった時は私にお見せください。
「姫様のお手もお膝も、太腿やお尻まで 全 て 癒して差し上げます!」
「そ、それはちょっと」
「いいえ、恥ずかしがることはありません。
「いずれは全てを見せ合う仲になるのですからっ!」
クリフトは鼻息を荒くしながらアリーナ姫の身体を凝視し、ササクレひとつ見逃さぬ程の眼差し(エロ目)を注いでいると、背後から魂までも底冷えするような冷気が疾走します。
「ほほう……治せるものなら先ずは貴様の脳内を治せ!」
「姫様。ワシは魔法が使えますので、アホを凍らせるにはお任せを」
「ブ、ブライ」
そうして老魔導師は氷柱となった神官の脇を通り、サランの町へやくそうを買い込みに行くのでした。
哀れ、氷結クリフト。
やくそう買ったら神官イラネ。
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