寄り道ばっかりしてる。
氷結クリフトの冒険
LV.18 「エンドール」
エンドールのコロシアムではまだ結婚式が続いています。
「あの二人を結びつけたのは、実は私なんですよ」
何度も何度も熱烈な口付けを交わすリック王子とモニカ姫を見て、大商人トルネコは穏やかな笑みを湛えながら言いました。
「どういうこと?」
「いや実はですな、」
敵国同士であったボンモールとエンドール。
両国が戦争になるところを、トルネコが嘗てから恋仲であった二人の手紙のやり取りを成功させたことで争いは免れ、今はこうして同盟を結び、それぞれの王子と王女が結婚するまでになっているということです。
「愛の力ですなぁ」
そう言ってトルネコが目を細めて笑うと、横から素早くクリフトが現れました。
「トルネコ殿! 折り入って頼みがあります!」
「ク、クリフトさん?」
瞳を大きく見開いたクリフトは、凄みのある顔で懐から一通の手紙を取り出すと、ポカンとしたままのトルネコに見せて言います。
「私の愛のキューピッドになって頂けませんか」
「キュ、キューピッ……え?」
トルネコは思わず2度見しました。
「こ、これをですね、とある高貴な身分の女性にお渡し願いたいのです」
「とある……ですか」
トルネコは突然のクリフトの行為に「?」な表情で見つめるアリーナ姫をチラリと見て言いました。
「トルネコ殿でしたら、私の恋愛も成就してくださるに違いありません!」
「そ、それはちょっと」
本人に聞いてみないと、とトルネコは再びアリーナ姫を見ました。
「お願いします! 天使さん!」
必死な形相のクリフトは、有無を言わせずトルネコの懐にラブレターをしまおうとしたその時、
「おう! 何時でも天国に連れてってやるわぁアァァッッッ!」
「トルネコ殿。彼奴(きゃつ)に天国の橋渡しをしてやってくだされい」
もしか地獄で構わない。
カチコチに凍ってしまったクリフトを棺桶に放り込み、ブライは葬式代をトルネコに渡してコロシアムを去っていきました。
哀れ、氷結クリフト。
「本当に困った人達だ」(@トルネコ)
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